「タイア史詩」レビュー：ゆっくりとしたニッチなオンラインゲーム、レトロだが面白い

スローペースと古代ゲーム体験の再現を売りにするMMORPG「タイア史詩」は、リリースから5年が経ちました。2017年の開始以来、このネットイースが開発した神秘的なオンラインゲームは、ゆっくりとではあるが、その光を放ち続けています。最近オープンした「異端者の侵攻」という新しい拡張パックでは、「タイア史詩」は創作の原点を守りながら、大きな進化を遂げました。

ゲーム技術は目覚ましい進歩を遂げており、2021年において、プレイヤーはグラフィック、滑らかさ、音楽など、ゲームのハードウェアに対する要求が高まっています。「タイア史詩」は、前のテストバージョンでは、古臭いグラフィックが現在のゲーム市場には明らかに適していませんでした。今回の新バージョンアップデートでは、目に見える画質の向上が見られ、シーンのモデリングの精細さ、色の使用、環境光の使い方が大きく改善されました。もはや「伝説のページゲーム2.0」をしているのではないかと感じることはなく、まさに中世のダークファンタジーの世界であり、深みがあり魅力的です。

同時に、彼らは背景音楽を環境にうまく融合させており、シーンが変わったり、プレイヤーの戦闘状態が変わったりするたびに、必ずBGMが変化し、自然で印象に残るものとなっています。

しかし、視覚と聴覚の面で生まれ変わった「タイア史詩」は、旧バージョンで欠けていた世界観のコンテンツをさらに補完する必要があります。旧バージョンではストーリーが少し薄っぺらく、プレイヤーもNPCも動機やニーズがぎこちない印象でした。そこで、新バージョンでは、著名なファンタジー作家であるRoderick Leeuwenhart氏に、ゲーム内の世界の詳細な設定を依頼しました。

世界をより完全なものにするためには、まずストーリーの中のキャラクターの動機を完成させる必要があります。宗教は、それぞれの精神的なニーズを指し示し、宗教は中世全体における精神的な背景として最も重要なものでした。宗教を起点とし、「異端者の侵攻」バージョンを構築することで、タイア大陸全体に聖三位一体の信者が存在し、世界は不気味な陰鬱さに覆われています。突然発生した疫病、墓地から聞こえるささやき、正体不明の錬金術師など、様々な勢力が入り乱れ、奇妙で不可解な事件が絡み合い、暗黒ファンタジーの中世世界が徐々に構築されていき、巧妙ながらも壮大です。

世界観が充実し、視覚と聴覚の体験が向上したことで、プレイヤーは「タイア史詩」の独特なゲームデザインをより深く味わうことができるようになりました。「タイア史詩」は、古代のゲーム体験を再現することに重点を置いており、昔ながらのハードコアな戦闘、ゆっくりとしたながらも確実なゲームペース、深く頻繁なプレイヤー間の交流が、開発チームが表現したいゲームの姿です。

市販されている一般的なMMORPGでは、ゲーム序盤のレベルアップ体験はしばしば軽視されており、自動経路探索、2、3匹の雑魚敵を倒すだけでレベルが40～50まで上がるという体験が数多く見られます。また、まだ初心者段階のプレイヤーは、一撃で数万ものダメージを与える数値が出てくることが多く、実際にはすでに飽き飽きしています。

「タイア史詩」は、プレイヤーを数値インフレの刺激からうまく引き離すことができます。小さな数値と難易度が高いゲームデザインにより、ゲームの過程におけるあらゆる行動が慎重に行われるようになります。たとえ雑魚敵であっても、プレイヤーはスキルの間隔をうまく使い、遠距離攻撃の職業はモンスターとの距離をコントロールするために、時々位置を変えなければなりません。

そして、「タイア史詩」が表現しようとしている「スローペース」は、理由のないゆっくりさではありません。プレイヤーが初心者段階では、ゲーム内のコンテンツを学ぶのを支援するための十分なガイダンスがあり、こうした段階的な体験は実際には遅くありません。ただし、今の高速ペースのゲームに慣れているプレイヤーは、このようなゲーム体験に非常にイライラするかもしれません。しかし、このスローペースに慣れてしまえば、逆にその中に没頭できるようになります。

MMORPGは、プレイヤーに非常に長い期間のゲームサービスを提供することを目的としています。プレイヤーがこの世界の中で奮闘するのは、2、3個の宝物を持ってすぐに去るためではありません。むしろ、このタイプのゲームを体験したい人は、ゲームの中で自分だけの史詩的な冒険物語を作りたいと考えているのです。

自分だけの史詩的な冒険物語である以上、ある特定の段階が薄っぺらくて無意味なものがあってはなりません。高強度のトップレベルの戦闘に直接向かうのは魅力的ですが、英雄は微々たるものから始まるものです。最初から成長の過程を楽しむことは、同様に楽しく、スローペースな生活をすることによって、あなたの物語のあらゆる段階が非常に面白くなるのです。

序盤の強化であれ、徐々に発展していく職業の分化システムであれ、プレイヤーが各段階で体験する内容は異なります。

一歩一歩進んでいく達成感に加えて、スローペース、小さな数値、数値のバランスに基づいて構築された交流体験は、「タイア史詩」が最も成功している点の一つです。各段階でプレイヤーはやるべきことがたくさんあり、最初のダンジョンをアンロックした時から、プレイヤーはこの世界と密接なつながりを持つようになります。

スローペースを軸にしたゲームの旅には、一緒に旅をする人がいるとさらに面白くなります。

従来のMMORPGでは、ゲーム体験は「便利さ」によって孤独になりがちでした。ソロでプレイできるなら他の人と協力はせず、オークションで売れるなら露店は出しません。「タイア史詩」には、現代のゲームにある多くの「便利さ」の設計が欠けており、プレイヤーはゲームをプレイしているときに、他のプレイヤーとの交流がより頻繁になります。例えば、プレイヤーはソロでの戦闘力はそれほど強くなく、取引所がなく、装備や乗り物はゲーム時間とともに消耗し、食料や薬は補充する必要があります。小さな数値とバランスによって、ダンジョンではチームを組む必要があり、日常的なゲームでは、他のプレイヤーと取引する必要がある補給品も出てきます。ギルドや戦争など、核となるゲームプレイは、グループ間の競争になります。

プレイヤーのゲーム内での交流体験を際立たせるだけでなく、MMORPGとして、「タイア史詩」はゲーム内の経済システムの調整にも多くの努力を払ってきました。ゲーム内での戦力値に影響を与えるアイテムは、ショップでは絶対に販売されず、プレイヤーがゲーム内で獲得した装備には、絶対にバインド属性がつきません。通貨については、ゲーム内では単一の通貨であるゴールドを使用し、どのような装備であっても、ゴールドで購入することができます。

これらの対策によって、ゲーム内のビジネスシステムは閉ループとなり、プレイヤーはゲーム内のプレイを通じて価値のある装備やアイテムを獲得し、淘汰された後は露店で販売して資金を得て、新しい世代の装備に交換することができます。バインド属性がないことで装備は常に流通することができ、単一通貨によって、誰もがゲーム時間を通じて欲しい装備を入手することができます。

装備などのコア商品を価値あるものとして維持し、プレイヤー全体の取引システムを安定的に継続させることは、MMORPGにとって重要なことですが、実現するのが難しい点です。テストの結果から、物価と金価格は、開発チームの努力によって、ほぼ安定していることがわかります。まさに、この点を粘り強く実現したことで、ゲームはスローペースで運営することができ、プレイヤーは昔ながらのハードコアなゲームプレイの中で、少しずつ味わいを楽しむことができるのです。なぜなら、努力すれば必ず報われるからです。あなたの努力は常に価値を持つのです。

あらゆる面から見て、「タイア史詩」は非常に型破りなオンラインゲームです。型破りな点は、開発チームが昔ながらのゲームプレイにこだわっていること、マイナーなテーマを愛していることです。しかし、これらの型破りな設計の中には、開発チームが古代のゲーム時代のような、実質的で面白いゲーム体験を再現しようとしていることが見て取れます。従来のMMORPGに飽き飽きしているプレイヤーにとって、属性が売られていないこと、スローペースであること、単一の通貨であること、小さな数値であることなど、これらの要素は、全く異なる体験をもたらすでしょう。